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【商標問題】「少女前線」のネーミングを譲らなかった企業は何処か?

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「ドールズフロントライン」というゲームをご存知でしょうか?このゲームは中国の「MICA-team」が同人時代に制作した「面包房少女」の世界観を継承した軍事シミレーションゲームになっています。

日本でのリリースが決まる前から話題になっており、事前登録者は70万人を超えるなど海外のスマホゲームとしては大きな話題になりました。しかし当初予定していた「少女前線」のネーミングから一転。突然正式ネーミングとして「ドールズフロントライン」と名前を変更する事態に。

一体なぜネーミングを変更する事態に陥ったのか、調べると、そこには企業間の複雑なトラブルが浮き彫りになってきました。


「MICA-team」と「Wave-Games」の亀裂

そもそものキッカケは3年前より起きていました。当時、少女前線を開発していた「MICA-team」は日本での展開を目指して「Wave-Games」と締結しました。この締結は「少女前線」の中国と日本における独占ライセンス契約でした。

そもそも何故MICA-teamは自分たちで日本展開しなかったのかというと、台湾や韓国といった様々な地域に展開しており、中国本社でやり切るには人員が足りないという事情がありました。この事情から日本展開では別企業と協力して展開していくことがベストなのではないか、という考えに至ったのではないかと考えます。

いずれにしてもこの締結は互いに良い方向へは進みませんでした。

2015年10月26日に中国で実施されたβテストでサーバーダウンが発生。この問題をMICA-team側はWave-Gamesによるものだと主張しましたが、Wave-Games側の主張によればデータベースに問題があり、サーバーには問題がなかったと主張。

さらに2016年1月25日に行われたβテストでもサーバーがダウン。この時もWave-Games側はデータベースの問題はまだクリアされていなかったと主張しています。しかしMICA-team側がこの件についてもWave-Games側に問題があったと主張しています。

Wave-GamesによればデータベースとプログラミングはMICA-team側が行うものだと指摘しています。ですがMICA-team側は認めようとしませんでした。


運営元を変更「SUNBORN Network Technology」へ

このようなイザコザから不満を募らせたMICA-team側でしたが、Wave-Gamesには内緒で新たな運営元を探します。候補の中には何と中国大手のインターネット企業のテンセントまでも。

しかしテンセントとは締結をせず、結んだのは「SUNBORN Network Technology」という現在「ドールズフロントライン」を運営している企業になります。

しかし、この頃までは未だにWave-Gamesとライセンス締結をした状態であり、アカウントデータや音声・イラストなどのデータや使用権利も全てWave-Gamesが保有している段階でした。もちろん「少女前線」という商標も。


「Wave-Games」の報復

MICA-teamの新たな運営元との締結を知ったWave-Gamesは話し合いの場を設けることに。この話し合いの場では2016年4月1日に和解することに成功しました。

しかしその後、MICA-team側がWave-Gamesとのコンタクトを完全にシャットダウン。MICA-teamはWave-Gamesへのコンタクトが取れない状態が続いていると主張していますが、Wave-Gamesは連絡は一切ないと主張しています。これにより2社の隔たりは決定的になりました。

その後、この2社の間に何があったのかは分かりません。もしかしたら法的訴訟などの事態があったかもしれません。

実際、運営元からTwitterで報告された書類には「第三者との訴訟」について記述されています。これがWave-Gamesから不明ですが、いずれにしても配信されている事態を見ればイラストや音声などのデータ、権利は取り戻したことになります。「少女前線」という名前を除いて...

運営元のTwitterによれば第三者との裁判から調停、譲渡することが決まっていました。しかし相手側が故意に別の第三者へ商標を売却する事態が起きてしまいました。

運営元は「第三者と濁していますが、可能性として大きいのは「Wave-Games」でしょう。事実、「少女前線」の商標権利を保有しており、当初開始予定2016年のTwitterにはキッチリ「少女前線」というネーミングが利用されていました。

となれば、これはWave-Gamesが最後の最後にしてやった「MICA-team」への報復ということになります。


「少女前線」の商標を持つ「GMOブライツコンサルティング株式会社」とは?

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ではWave-Gamesが「少女前線」の商標を譲った企業はどこなのか?現在「少女前線」の商標を保有するのはGMOブライツコンサルティング株式会社」GMOと聞くと日本を代表するインターネット企業として有名ですが、この企業は2015年10月よりGMO資本提携を行い子会社化され、同時に社名に「GMO」を付け加えました。

創業は2004年と、それなりに歴史を持つ企業ですね。扱っている事業は商標やドメイン、権利など知財関係の事業が中心となります。

この企業にWave-Gamesが「少女前線」の商標を売却したとしても不思議ではありませんね。疑問に感じるのは何故ここに売却したということですが、「GMO」という大手がバックにいたことによる安心感からでしょうか...?


「第三者」はWave-Gamesではない?

ただ検索でさらに調べたところ、どうやら第三者は「Wave-Games」ではなく別の企業の存在が浮かび上がりました。

その企業は「Yostar」

日本でアズールレーンを運営している企業です。ちなみにこちらも中国系

何故、第三者がYostarだと分かったのか?以下の記事では「特許情報プラットホーム」より「少女前線」で検索をかけたところ2件ヒットしたとされています。

日本版「少女前線」,商標トラブルによりサービス名称を「ドールズフロントライン」に変更。トラブルの相手は…… - 4Gamer.net


それらを調べてみると出願人には「金 傑」代理人には「李 衡達」の名前が。「金 傑」の名前はWave-Gamesの人間の名前です。おそらく代表取締役かと思われます。一方の「李 衡達」はYostarの代表取締役です。これらの事から「第三者」とはYostarによる思惑である事も考えられます。

つまりMICA-teamの横暴に許せなくなったWave-Gamesは同じく日本で中国系ゲームを展開しているYostarに「少女前線」の商標を譲り、そして別の中国系ゲームで各国で大きく展開している「少女前線」というゲームが日本でも同じく展開していくことに警戒感を抱いたYostarが、少女前線の商標をGMOブライツコンサルティング株式会社に売却した...ということでしょうか?

流石に想像の域を出ないので分かりませんが何となく予測は出来るかと思います。

ただ2018年11月12日の時点で「特許情報プラットホーム」にて「少女前線」と検索してみたところ、ヒット件数が0件でした。

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日本版「少女前線」,商標トラブルによりサービス名称を「ドールズフロントライン」に変更。トラブルの相手は…… - 4Gamer.net」の記事が2018年7月17日の記事である事から、4ヶ月の間に何かがあったことは事実でしょう。



「少女前線」から「ドールズフロントライン」へネーミング変更

かくして様々な企業の思惑が渦巻き、結果的に「少女前線」というネーミングから「ドールズフロントライン」へとネーミングが変更する結果になりました。この名前は2018年11月12日時点でも変わっていません。


App Storeのキャプチャー

ちなみにApp Storeにて「少女前線」と検索すると「ドールズフロントライン」のアプリが最初に出てきます。(上は広告)

今後「ドールズフロントライン」が「少女前線」と名前が変更することはあるのでしょうか?

実際、「ドールズフロントライン」よりも「少女前線」というネーミングの方がしっくりくるのは感じます。ただこの名前で大きく展開してしまった以上、もう取り返しがつかないという事も察せます。


一体誰が悪い...?

MICA-team...?

と感じる部分も大きいですが、アズレンのYostarも意地悪な感じがします。そしてGMOブライツコンサルティング株式会社も何故、騒動の真っ只中にある「少女前線」の商標を買ってしまったのかも疑問です。

また疑っている訳ではありませんが、Wave-Gamesが言っている事も事実かどうかは定かではありません。いずれにしても企業間の思惑に巻き込まれてしまった感じでしょうか?

許しがたいのも事実ですが、何となく「運がなかった」とも解釈できそう。

もしMICA-teamに余力があったら、Wave-Gamesとの関係が良かったら、Yostarが何もしなかったら、GMOブライツコンサルティング株式会社が商標を買わなければ、事態が少しでも好転するキッカケさえあれば今回の物事が上手くいったのではないかと感じるのです。

だからもう、仕方ないで済ますのは...ダメかな?ダメか...

でも最大の被害者は分かります。MICA-teamも被害者ですが、一番の被害者は「少女前線」の運営を引き受け、騒動に巻き込まれた「SUNBORN Network Technology」ではないでしょうか?


まとめ

面白いくらい企業間の複雑な入り乱れがありますね。「少女前線」という1つの名前でここまで多くの企業が巻き込まれていくとは思いませんでした。やはり商標というのは大事ですね。

一方で少女前線...ではなく「ドールズフロントライン」というゲームにも興味が出てきました。普段ゲームをプレイする機会がないのですが、これをキッカケにプレイしてみようかな、とも感じます。

まだリリースされて間もないのも事実。悪い方向ばかりに進んでしまった「ドールズフロントライン」ですが、注目が多く集まったのも事実です。もしかすると今後も注目と人気を集め、様々なメディアミックス化がされていくかもしれませんね。


以上!!


P.S.調べていくうちに、こういう商標トラブルって他にもありそうな気がしました。でも「少女前線」の問題はレアパターンかも?

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